【調査報告】能登半島地震におけるビル転倒のメカニズムと構造バランスの重要性
この事例は、**「杭基礎を持つRC造ビルが転倒した国内初のケース」**として、今後の建築基準にも影響を与える重要な調査結果となっています。
構造種別(RC造・鉄骨造・木造)を問わず、建物の安全性を確保するためには構造バランスが極めて重要です。特に上階での重量の片よりは避けることが重要となります。
2024年能登半島地震から約2年。石川県輪島市で発生したRC造ビルの転倒事故について、国の有識者委員会による調査結果が公表されました。本報告では、事故のシナリオと、そこから再確認された「構造バランス」の重要性についてまとめます。
1. ビル転倒の事故概要
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発生場所: 石川県輪島市
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対象建物: 7階建て鉄筋コンクリート(RC)造ビル(1975年竣工)
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被害状況: 建物が東側に転倒し、隣接する木造店舗兼住宅を押し潰した。
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特異性: 杭基礎を持つRC造建築物が転倒した国内初の事例。
2. 推定される転倒シナリオ
調査報告書によると、以下の3段階を経て転倒に至ったと分析されています。
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杭頭部の致命的損傷: 強烈な地震動により、既製コンクリート杭の頭部に斜めひび割れなどの著しい損傷が発生。鉛直・水平方向の支持力を喪失しました。
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設計上の偏りによる負荷集中: 当該ビルは柱の配置が西側に偏っており、スパン(間隔)も不均等でした。この「建築計画上の偏り」により、地震時の負荷が東側の杭に集中しました。
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東側への傾斜と転倒: 東側の杭が重みに耐えきれず支持力を失ったことで、建物全体が東側へ傾斜。縦長の立面形状も災いし、そのまま転倒に至りました。
3. 構造面から得られた教訓
今回の事例は、特定の構造に限らず、全ての建築物において**「バランス」**が命守の鍵であることを示しています。
構造種別を問わない共通の原則
RC造、鉄骨造、木造のいずれであっても、耐震性能を十分に発揮させるためには、建物全体の重心と剛性(強さ)のバランスを整えることが不可欠です。
上階における「重量の偏り」の回避
特に注意すべきは、上層階での重量バランスです。
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ねじれの防止: 上階の重量が一方に偏っていると、地震時に「ねじれ(偏心)」が生じ、一部の柱や杭に設計想定以上の負荷が集中します。
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安全な設計: 平面的な柱の配置だけでなく、建物全体の立面的なプロポーションを含め、負荷が均等に分散される設計が重要です。
設計に求められること
輪島の事例は、旧耐震基準の課題だけでなく、基礎と上部構造のバランスがいかに重要であるかを浮き彫りにしました。今後の建築設計・補強においては、単体の強度だけでなく、建物全体の重量配分を最適化する視点が求められます。
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